介護保険のあれこれ

介護保険は、介護や支援が必要な方々(要介護者・要支援者)に、介護や介護予防に関連する費用の一部をカバーする制度です。

介護保険の給付を受けるためには、地域の担当窓口である市区町村の地域包括支援センターに申請が必要です。

このページでは、介護保険の申請手続きや関連費用、特定の身体状況に合った老人ホームの提案などについて詳しく紹介していますので、順を追ってご覧いただきましょう。


~保険料を支払う時期について~

40歳に達すると、介護保険に加入が必須とされ、保険料が課せられます。この保険料は、通常の健康保険と一緒に差し引かれます。具体的な保険料の計算方法は、全国健康保険協会、市町村国保、各健康保険組合によって異なります。

協会けんぽ、職場の健康保険、共済組合の医療保険に加入している場合、給与から介護保険料率が控除され、事業主もその半分を負担します。介護保険料率は、都道府県ごとに健康保険の提供者によって異なります。また、被扶養者は介護保険料を支払う必要はありません。

国民健康保険に加入している場合、自治体の財政状況に応じて所得割、均等割、平等割、資産割の4つの要素を組み合わせて計算され、介護保険料率も異なります。所得割は、世帯ごとに前年の所得に基づいて算出されます。

65歳以上の場合、通常は年金から天引きされて市区町村に徴収されますが、自治体によって異なるため、金額に差があります。また、負担が過大にならないよう、低所得者向けに国の調整交付金が利用されています。


~介護保険が適用されるサービス~

高齢者や介護が必要な人々をサポートするために、いくつかの介護サービスが提供されています。以下では、これらのサービスを簡潔に説明します。

居宅介護支援】
ケアプランの作成や家族の相談に対応するサービス。

訪問型サービス】
訪問介護
生活援助(掃除、買い物、調理など)や身体介護(入浴、排せつの世話)を提供。

訪問看護
医師の指示に基づき、健康チェックや療養上の世話を行う看護師によるサービス。

訪問入浴介護
自宅に浴槽を持ち込んで入浴介助を提供。

訪問リハビリテーション
リハビリの専門家が自宅でリハビリを行うサービス。

居宅療養管理指導
医師、歯科医師、薬剤師、栄養士などが訪問し、療養上の管理と指導を行うサービス。

通所型サービス】
デイサービス
食事、入浴、リハビリ、レクリエーションなどの日帰りサービス。

デイケア
理学療法士や作業療法士によるリハビリが提供される施設でのサービス。

認知症対応型通所介護
認知症の高齢者向けのデイサービス。

短期滞在型サービス】
ショートステイ
短期間の宿泊で、食事、入浴、リハビリなどのサポートが提供されます。家族の介護負担軽減や施設入居準備に利用されます。

施設に入居するサービス】
特別養護老人ホーム(特養)
高齢者向けの施設で、介護や医療サービスが提供されます。

介護老人保健施設(老健)
高齢者向けの施設で、リハビリや看護が行われます。

介護療養型医療施設(療養病床、将来的には「介護医療院」に転換予定)
医療的なケアが提供される施設。

福祉用具に関するサービス】
福祉用具のレンタル
介護ベッドや車椅子などの福祉用具の貸し出し。

入浴・排せつ関連の福祉用具の助成
購入費用の一部が補助されます。

住宅改修
住宅のバリアフリー化や改修工事に補助金が支給され、高齢者の住環境を改善します。

これらのサービスは、高齢者や介護が必要な人々の生活をサポートし、家庭での生活を継続するための重要なリソースです。必要なサービスは、個々の状況に応じて選択できます。


~要介護認定の申請方法について~

介護保険サービスを受けるには、まず要支援または要介護の認定が必要です。以下に、その手続きと流れを説明します。

認定申請の手続き
・お住まいの市区町村の介護保険担当窓口で申請を始めます。
・役所の窓口で日程を調整し、認定調査員がご自宅(入院中の場合は病院)に訪問し、
 日常生活の状況や身体機能・認知機能を評価します。
・認定結果が出るまでに約1か月かかります。

認定結果に応じた相談
・要支援の場合、地域包括支援センターに相談します。
・要介護の場合、ケアマネジャーに相談します。
・ケアマネジャーを選ぶ際は、地域で活動しているケアマネジャーのリストを提供されます。
 自宅の距離や相性を考慮していくつか連絡し、相談を行います。

ケアマネジャーの選択が難しい場合、地域包括支援センターに相談して、適切なケアマネジャーを紹介してもらえます。

ケアプランの作成
・ケアマネジャーは、本人や家族の希望を聞きながら「ケアプラン」と呼ばれる
 介護の計画書を作成します。
・ケアプランには、介護されている家族の相談も反映されます。
・ケアプランが決まると、それに基づいて介護サービスを受けることができます。

要支援または要介護の認定を受けることで、介護保険サービスを利用できるようになります。自身や家族の状況に合わせて、適切なサービスを提供してもらえるので、必要なら手続きを進めてみましょう。


~自己負担の割合~

介護保険は必要な人が使えるように、保険料と税金で運営されています。そして、所得により、1割から3割の自己負担があります。
介護保険施行当初は全員1割負担でしたが、現在は所得に応じて1割~3割負担となっています。

さらに、平成29年6月2日に公布された「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」の「四 介護給付及び予防給付について、一定以上の所得を有する第一号被保険者に係る利用者負担の割合を、その費用の100分の30とする。」は平成30年8月1日から施行されることが決まりました。
現役並に所得のある高齢者は、介護保険利用時の自己負担割合が3割になります。

今まで2割負担だった方のうち、単身者の場合、年金収入などが340万円以上(年金収入のみの単身者だと344万円)の人が3割負担となります。


~介護保険の1か月に利用できる上限金額について~

介護保険には、介護度に応じた支給限度額があります。この範囲内でケアマネジャーはケアプランを作成します。
介護度が重いほど限度額が大きくなりますそれ以上のサービスを受けたい場合は、全額自己負担となりますが、受けられないということではありません。
下表が介護度に応じた支給限度額表です。介護保険は点数制ですが、下表は1点10円で換算しています。1点の単価は10~11.40円で、賃金の地域差により決まっています。

収入や資産が限られている家庭などを支援するために、介護保険施設を利用する際の食費と住居費に関する負担限度額認定制度が存在します。

この認定を受けると、認定証が交付されます。この証明書があれば、支払限度額を超える支出から解放されます。認定証の取得には、お住まいの市区町村に申請を行い、証明書を発行してもらう必要があります。


介護保険は、初めて利用する方にとっては多くのルールや手続き、審査、更新などがあるため、ハードルが高いように感じることもあるでしょう。しかし、一度利用してみると、本人や家族にとって非常に頼りになる制度であることが分かります。
現代社会では核家族化が進み、高齢者の介護を家庭だけで行うことが難しい場合も増えています。そんなときこそ、自治体の窓口や地域包括支援センターを訪れてみることをおすすめします。ここで専門の担当者が介護保険について丁寧に説明してくれます。一人で悩むのではなく、まずは相談してみることが大切です。
平日に仕事を持つ方にとって、役所に行くことはなかなか難しいことかもしれません。しかし、事前に情報を集めたり、電話やメールで問い合わせたりすることで、訪問時の手続きがスムーズに進み、時間の節約にもつながります。
介護保険を利用するためには、まず相談に行き、介護認定の認定調査を受ける必要があります。認定結果が出たら、ケアマネージャーと相談し、利用したいサービスを見学し、契約を行います。注意点として、手続きは平日に行う必要があることもあるため、職場の介護休暇などを活用できるか確認することも大切です。